『我が為に鐘は鳴る 後編』
「……っち、横っち」
夏子の呼びかけに、横島の意識は急速に浮上していった。
「ここは……?」
横島は横たわっていたベッドから半身を起こして、周りを見渡す。周りには美神たちが立っていた。
「医務室だけど……横島クン、良かったわ。本当に」
横島は自分の胸を押さえる。なにか妙な喪失感のような違和感を感じたからだ。
「美神さん、俺になんかおかしいところありません?」
横島の問いに、美神は戸惑いながらも横島の正面からじっくりと観察する。
「……特にないわ」
その言葉を聞いて、横島は安堵の息をつく。が、その時、雪之丞が横島の背中を見て驚きの声を上げた。
「おい、横島。その傷、誰にやられたんだ!!」
横島の背中はどう見ても致命傷としか思えないくらいに、べったりと血に染まっていた。
「これは……!?」
横島は背中に手を当てるが、傷は無いし、血はもう固まっているようだ。
横島はいつ付いた傷なのか思案する。試合で背中を攻撃されたことは無い。それにベッドのほうは何故か真っ白だ。普通の傷ではない。
試合によるものではなく、しかもまともな傷ではない。
不可思議な現象だが、横島には心当たりがあった。
??夢。
「そうか……。俺は……一度殺されたのか」
横島の呟きは全員を驚愕させた。
「横島クン、何者かの攻撃を受けたのね?」
「誰だ、そいつの名は分かるか?」
美神と雪之丞は驚愕のあまり混乱しかけながらも冷静に問い掛けた。横島は考えながらゆっくりと話し始める。
「……たぶん、俺はこっちの世界にいなかったからな。そして俺は……向こう側で殺された。はっきり言って相手にならんかった。
あいつ……アシュタロスと同等かそれ以上の実力を持っているのかもしれない」
横島は言い終わると、若干ふらつきながらも立ち上がった。
「でも、今はそんなことより試合だ」
「ああ、明日の第五試合はピートだぜ」
雪之丞は暗に、余計なことを考えながら勝てる相手ではないことを示唆する。横島は分かっているというように雪之丞に頷いた。
「横っち、結構な場所に住んどるな?」
夏子は感嘆の声を上げた。
「今日は俺も泊まらせてもらうで」
銀一は許可を取るように疑問系で言うのではなく、拒否権は無いがごとく完全に断言した。
「かってにせい!!」
横島は半ばあきらめつつ言うと、マンションに入っていった。
そう、マンションである。かつてのあのボロアパートからは引っ越したのだ。
そして、今は都心のマンションに本宅を構えている。ちなみに、このマンションはニコニコ現金一括払いで買ったものだ。
国税局や厚生労働省の調査から違法性が認められ、結果で横島忠夫への賠償金として二億円が美神令子から支払われたのだ。
あの、がめつい女でも国家権力までは相手にならなかった。
同時に横島は莫大な税金がかけられたが、このマンションを買って独立する程度は何とかなったのである。
中は4LDK、一つ一つの部屋が広いのだ。横島は昔では考えられなかったような豪華な(普通の)ソファに腰を降ろした。
「横っち……ちなみに今の年収どれくらいや?」
「まあ、今は……五千万くらいかな」
「少ないみたいな表情で言うな!!」
三人の笑い声が部屋に響き渡る。そして、しばらく雑談したあと、きりのいいところで横島は立ち上がった。
「俺、明日が早いから寝るわ。お休み」
言うと、横島は自分の部屋へと入っていった。
「……どうする?」
「完全に用事を伝え忘れてしもうた」
浮かれすぎて目的を忘れかけていた夏子と銀一は難しい顔をして呟いた。
何故か横島は荘厳でありながら寂れている城の廊下を歩いていた。
「また来たのか。お前は……」
廊下の先にいた黒い美少女、アルトルージュは苦笑する。
「まったく、アレだけのダメージを与えたのに……しょうのない奴だな」
アルトルージュは呆れた表情になった。だが、眼は穏やかで少し笑みがある。理由は不明だが、いちおう嬉しいのだろう。
「って、なんで俺がここにいるんだ!?」
ブリュンスタッド城で、横島は根本的な疑問を叫んだ。
その問いに、真剣な眼差しになったアルトルージュは静かに口を開いた。
「……おそらく、あれが呼んだのだ」
視線で差された方向には大きな吹き抜けがある。そこから城の中を覗くことができる。
横島はこの際アルトルージュは警戒しても無意味と割り切り、近寄って覗き込んだ。
どうやら横島はこの前殺されたあたりにいるようだ。見えたのは昨日と同じもの。
アルトルージュを白くしたような女性が幾重にも渡る鎖でつながれている。
こんなことをやったら、世界倫理的に問題だ。横島はそこで時代を聞くことにした。
「一つ聞きたいんだが……西暦で今がいつだか分かるか?」
「1292年だ。フィナやリィゾが人間の情報を持ってきてくれる」
「……と、言うことは。八百年近く俺は過去にとんでいることになる」
横島は呟いた。
「ふっ……面白い奴だ。我々吸血種を前に脅えるどころか、とぼけるとは。愉快な奴だ」
アルトルージュは口元をゆがめた。横島も苦笑する。
「……そろそろ戻るが良い。トラフィムがそろそろやって来る」
「トラフィム?」
「我々死徒の代表といったところだ。形式上ではあるがな」
「……つまりはヴラドみたいな奴か」
アルトルージュは思わず笑いを外に出した。その笑いは少女そのものだった。
「お主、ヴラド島のヴラド男爵を知っておるのか」
「八百年後に滅ぼしたからな」
横島は言った。
「八百年後とは面白い奴だ。はっきり言っておこう。私はあんなものが十人でかかってこようと敵ではないぞ」
「なっ……」
絶句する横島をよそに、アルトルージュは廊下の奥へ顔を向ける。
横島もすぐに、そちらから誰かが来ることに気が付いた。
「ほう……、人間の客とは珍しいな。アルトルージュ」
「アルカトラスか」
横島は思わず身構えるが勝てる気がしない。しかし……、一度アルトルージュの強大な気配を受けた今は、なんとか戦うことができる精神状態に持っていった。
「……さあ、ここから立ち去れ。奴が来たらこうはいかなくなるぞ」
アルトルージュは言った。横島は少し考えたが、戦う理由も無かったので言われたとおり文殊に『帰』『還』の文字を入れた。
そして、横島が目を覚ましたときは朝だった。
「よう、遅いお目覚めやな」
銀一はリビングでくつろぎながら片手を挙げてくる。
「横っち、朝食はできてるで」
ひとの家の食材で、ひとの家の道具で、ひとの家の食器を使って、さも親切心でやったのだから感謝しろといわんばかりに夏子は言う。
横島は少し憮然としながらも大人しく席に着いた。そして横島はできるだけ感情なく、平坦に言った。
「……銀ちゃん。夏子との結婚式はいつなんや?」
「……分かっておったんかい。」
「だけど、芸能界はどうするんや? 銀ちゃんはミーハー人気で持っとるとこあるやろ」
「その辺は横っちが気にするもんやない。でも、横っちが心配してくれるとは思わへんかったわ」
横島は苦笑すると食事を取らずに立ち上がる。
「当たり前や、俺とお前は親友や。ある程度の事は分かるがな。それよりも俺、準備があるから……」
横島は部屋に戻っていく。
「横っち、……一ヵ月後や」
「分かった、できる限り行くことにするよ」
横島は心の中では少しだけ寂しくも、表面上は笑顔で言った。
『第五回戦、ピート選手、女性からの黄色い声援が眩しいです』
「…………」
試合直前にもかかわらず、横島はアルトルージュを思い出していた。
「吸血種……か」
横島は呟いた。目の前には半分とはいえ吸血種たる存在、ピートが立っている。
『試合開始!』
「横島さん、本気で行きますよ!」
掛け声と共に、ピートは霊波砲を撃つ。
下手な小細工のない直線攻撃。ゆえに対応も単純なものとなる。すなわち受けるか、避けるか。
ちなみにピートはどちらでも良いのだ。この霊波砲はただのおとりで、対処する時に出来る隙を狙っているのだから。
横島は栄光の手を出すと、ピートの霊波を妙に軽く受けきる。
横島は不思議だった。アルトルージュと会ってから、霊力の絶対量が増えているのだ。
単純にいうとこれは生存本能によるものである。
アルトルージュというあまりに強大な存在に身をさらしたため、無意識に火事場のクソ力のようなものを出しているのである。
ふと、横島はこの上昇した霊力を使う新必殺技を閃いた。例えるなら頭の上に豆電球が灯る。
「……そうだ」
ピートの追撃が来る。渾身の右拳。横島はそれを直撃??したかのように見えたが横島はピートの後ろに立っていた。
「幻影斬!!」
横島は霊力で自分のダミーを作り出し、ピートはそれにまんまと騙されたのだ。がら空きのピートの背中に栄光の手が突き出され、ピートは崩れ落ちた。
『横島選手の勝利です!』
「まだだ。……まだ、この程度では勝てない」
横島は誰に言うともなく呟いた。
「横島、絶好調だな」
雪之丞は笑みと共に言った。
「そうか? ……俺はそんな気はしないんだ」
ちなみにタイガーはエミさんとの戦いで敗退していた。
「ふう……」
横島は精神的な疲労のせいか、軽くため息をつき、選手控え室の長いすに寝転がる。
しばらくした後、
横島は急に起き上がった。その視点は壁を向いており、そこには何もない。しかし横島はその壁の先で、あるものを感じていた。
そこには、あの城で感じた霊気があった。
横島は会場を出る。そして周りを見渡した。
何故か誰もいない中、一人の少女が横島に厳しい視線を投げかけてくる。
「……あなたが、GSの中では危険人物として名を挙げられている横島さんですか」
少女は言った。それは問いかけというより確認の言葉。
少女は高校三年くらいであろうか。彼女は黒い修道服、いや、法衣を着ている。
「えっ……」
横島がナンパをする前に彼女は剣を取り出す。
「アン! ドゥ! トロワ!!」
フランス語で1,2,3の掛け声と共に手から剣が放たれてくる。横島はゴキブリ並みの反応速度で後ろに飛んでかわした。
皆は横島のことをMだと思っているかもしれないが、それは完全なる勘違いである。
彼とて痛いものは痛いし、それは好むところではない。よって、しかたなく飛びながらも反撃を試みる。
横島は一瞬でサイキックソーサーを出すと、それを投げつけた。
少女は見事な体術で、いとも容易くそれを避けると、一目散に逃げ出した。
最初のチャンスを見失ったと言うことであろう。
「待て、何者だ!!」
横島の問いかけを無視して少女は走っていく。横島は走って追ったが、彼女は速すぎた。追いつけなかったのである。
「……俺が危険人物か。……俺は、……ここにいてはいけないのかもしれない」
横島は呟いた。
「横島選手、横島選手! いらっしゃいませんか!?」
係員は横島を探していた。その横島は先ほど拾った剣を持ってたたずんでいる。
「横島選手、試合が始まります! 急がないと失格になりますよ!」
係員は叫んだ。
「ああ、すぐ行く」
横島は歩き始めた。手には剣を持っている。彼女は首からロザリオをつけていた。つまり宣教師だ。その中から、この剣を持つものを探せばよかった。
『第六回戦唐巣選手と横島選手の戦いです』
「唐巣神父、一つだけ聞きたいんですけど」
「なんだね、横島君。試合前だから手短に頼むよ」
横島は先程の剣を差し出す。
「この剣に見覚えありませんか?」
「その剣は!!」
唐巣は絶句した。明らかに見覚えがあるという反応だ。
「それは……おそらく、シエル嬢の……。君は大変な人間に狙われているようだね。普通の人間なら生きてはいないよ」
ふと、気付けば目の前では剣が消えていく。いや、消えていくのではない。どういう原理なのかは不明だが、剣は紙になって散っていくのだ。
唐巣は紙を一枚拾うと、それを横島に見せる。紙には英語がびっしりと詰まっていたが、むろん横島には読むことなど出来るはずもない。
「今の剣はこの聖書を書きつずった紙で出来ていてね。黒鍵と言うものだ。埋葬部隊など、特殊な人間しか使わないものなんだよ」
「そうですか……」
横島はシエルという名前を頭に刻み込んだ。
『双方、始め!!』
「主よ、我に力を与えたまえ!!」
唐巣が霊力を集中し始めるのを見て、横島は手に光の盾を出す。
『出た、横島選手の十八番。サイキックソーサー!!』
「アーメン!!」
唐巣の手から光が出る。横島はそれをサイキックソーサーで弾いた。
「どうりゃっ!!」
そして、盾を投げた。
「ぐわっ!!」
波寄る年月には勝てないのか、唐巣の動きは遅く、サイキックソーサーがまともにぶち当たる。
横島は吹っ飛んでいく唐巣を目にしながらも、けして侮らず、再びサイキックソーサーを作った。
「まだまだ!!」
それを投げたあと、横島は両手に小さいながらもサイキックソーサーを作った。それを連発で投げる。
「サイキックソーサーよりは威力が落ちるけど……、十分すぎるはず!」
それは、横島の言ったとおりだった。唐巣は気絶していて立ち上がれなかった。
『勝者、横島!!』
周りから歓声が起きる。
「横島、流石だ」
雪之丞は横島と合図を交わした。
「横島さんたちの試合は大丈夫でしょうか?」
「美神お姉さまとかが出ているのよ。GS資格を守りきれていれば十分よ」
「じゃあ、タイガーは失格か」
オキヌは純粋に心配し、弓は気のない風を装い、一文字は無情に断言した。
今は昼休みだ。残っている人間も少ない。
横島はラウンジで食事をしていた。連れは雪之丞とタイガーとピートの三人である。
「ピート、悪いな。ダメージを与えて……」
「いいんですよ、僕の実力を測るためには十分すぎるほどでしたから」
ピートは微笑んだ。ピートは優しい、それが女性に好かれるのであるが……男はそれをねたんでいた。
その恨みの念がひしひしとどこからか来る。特に近くからの念が一番強烈なのはご愛嬌。
「精神感応能力が通じない相手はやっかいですノー」
どうやら、それはエミのことを言っているらしい。
「お前……あの笛を一文字さんに吹いてもらったら?」
横島は聞いた。かなり無理があるかもしれないが、いちおう応援の部類に入るだろう。
「おい、オキヌちゃんならともかく、かおりやこいつの恋人にそれを求めるのは無理というもんだぜ」
雪之丞は水を飲みながら言った。
「雪之丞……何が無理なの?」
ぶっ。
雪之丞は水を噴出した。
「雪之丞、何をしやがる!」
正面にいた横島は思い切りかかった水を拭きながら言った。
後ろには名前の挙がった三人の女性達が立っていた。
「何の用だよ……」
雪之丞は驚き、そして少々の恐怖に包まれながら聞いた。
「へえ、私が応援に来たのにそういうことを言うのかしら」
険悪なムードにピートはフォローを入れようとしたが、横島がそれを止め、首を振った。
「あいつらは、ただ単にイチャついているだけなんだ」
「誰がいちゃついているんだ!!」
「誰がいちゃついているのよ!!」
横島の言葉に弓と雪之丞は反応した。ピートは笑いをこらえる。
「な。そうだろ」
「……横島さんも成長しましたね。一昔前なら、『ちくしょう、ちくしょう、なんだかとってもちくしょう!!』でしたのに」
「ふふふ。もっと褒めていいぞ。……さて」
横島は立ち上がった。
「次の試合、俺は小笠原エミさんだし、雪之丞、お前の相手は隊長だろう?」
「おう。……そういえばそうだ」
雪之丞は真面目な顔になって言った。
「隊長?」
弓は聞いた。弓も一文字も美智恵隊長には会っていない。
「ああ、美神美智恵隊長だよ。魔神大戦の時に上司だった……」
横島は言った。ピートが補足として美神さんの母親ですと付け加える。
「行こうぜ、ウォームアップをしないと」
雪之丞が促すと、横島と雪之丞は歩いていった。
「タイガー、……お前は?」
一文字真理は珍しい笑顔で聞いた。
「わしは五回戦で敗れたんですノー」
タイガーが能天気に返事をする。
「えばって言うな!!」
ゴッと言う音と共にタイガーは動かなくなった。
「ふふふ。……横島、あなたはもう負けているわけ」
エミは試合が始まって早々、勝利宣言をした。北斗神拳伝承者でもないのに。
『第七回戦の小笠原エミ選手と横島忠夫選手がにらみ合っています』
「なっ……!?」
「私は呪い屋なワケ。勝てない戦いは決してしないの」
「別に良いですけど……」
横島はポケットから発動済みの文殊を出した。
「呪返……」
エミの言葉に横島は頷いた。
「分かったわけ。でも……これならかわせないわよね」
エミが出してきたのは、かつて横島から生まれた呪詛であった。しかも今回は形も横島の形をしている。
「ぐぎゃあああああ!!!」
呪詛は襲い掛かってきた。
「くっ……」
横島は迎撃のために栄光の手を出した。
「伸びろ!!」
栄光の手は呪詛に突き刺さった。しかし、呪詛は動きを止めない。
「かかったわけ!!」
エミの嬉しそうな声。
「しまっ……」
横島が狙いに気づいた時にはもう遅く、横島は呪詛に捕らえられる。
「霊体撃滅波!!」
一種の自爆戦術だ。
密着状態で呪詛が爆散し、横島は爆炎の中に消えた。
「また、来たのか」
「どうやら、意識がないときに飛んできちまうらしいな」
横島は挨拶もなしにアルトルージュと話す。
「なるほどな。……話は変わるが、お前は混血か?」
「? いや、俺はバンパイア=ハーフではないけど」
「そうじゃない。……魔族との混血かと聞いているのだ」
「……魔族の霊気構造を組み入れているから、そうともいえるかもしれない」
横島は少し考えた後、答えた。アルトルージュはその答えに不思議そうな顔をしていたが話しを進める。
「ならば、お前にはその霊気を取り込む力もある」
「なんだって?」
横島は言葉の意味が解らず、聞き返す。だが、アルトルージュが答えることはなかった。
「人間にこんなことを言うのは何故だか分からぬがな」
アルトルージュは軽く微笑む。その時、横島は人外のものに好かれやすいということを忘れていた。
「もし、私が純血の真祖ならば、死徒にしているところだ」
「それは、遠慮しておきます」
横島は苦笑しながらも立ち上がった。
「じゃあ、帰らないと……」
逃げるように立ち去る横島をアルトルージュはずっと眺めていた。
横島は起き上がった。あまり時間はたっていなかったようで、試合会場に転がっていたが、ちょうど小笠原エミの勝利が確定したところらしい。
「くそ、負けたか」
横島は少し悔しかった。ちょうどいいタイミングで雪之丞も戻ってくる。
「やっぱり、経験は何事にも変えられないな」
「ああ、俺も隊長に負けたぜ」
雪之丞は笑った。自嘲の笑みだったが。横島もつられて笑い始める。そして、顔を引き締めた。
「……これからのGS業界は変わるかもな」
「ああ、俺たち横島、伊達除霊事務所の時代が来るかもな」
この後、横島たちは日本武道館の外でおキヌ、弓と合流すると近くの中華料理店で食事と言うことで盛り上がった。
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